朝日新聞 限界にっぽん 第4部・続「追い出し部屋」(続き)
前月に続き、朝日新聞 限界にっぽん 第4部・続「追い出し部屋」に関して。
8月26日の記事は見出し「全力で支援、なんてうそだ」と、再就職支援会社について書かれていました。
会社都合で社員を退職させる場合、通常の退職金のほかに、割増退職金を支払い、再就職を支援する再就職支援会社を紹介して、社員に退職を促す。早期退職優遇制度と呼ばれ、リストラを実行する会社の多くがこの方法を取り入れています。
割増退職金が加算され、外部の会社が再就職を支援してくれるのであれば辞めてもいいかと思わせる、ここが落とし穴です。
再就職支援会社がやってくれるのは「支援」であって「紹介」や「斡旋」ではありません。
就職先は自分で探す。これが大前提。あなたが、いまの会社に就職するとき大学の学生課が何をしてくれましたか。何もしてくれず、自分の力で内定を取りつけたはずです。
今度は再就職。しかもリストラされた中高年。再就職支援会社が親身になって就職活動の世話をしてくれるわけがない。期待すること自体無駄です。
ではなぜ再就職支援会社は、リストラされた人を受け入れるのか。それは一人当たり60万から100万円の金がリストラをする会社から支払われるから。それだけ。
ただ。金を貰った以上何もしないわけにはいかない。そこで「支援」をする。
ふつう支援と言えば自分の再就職先を探して、職につけてくれる。誰でもそう思い、期待する。それが甘い。
やってくれるのは、履歴書の書き方。職務経歴書の書き方。面接の受け方。それらを教えて、いや話してくれるだけ。
何の役にも立ちはしない。書店に行けばそれらに関する書籍はごまんとあります。
私も早期退職優遇制度への応募を迫られたことがあります。「応募はしない」と言っているにもかかわらず、再就職支援会社の説明を聞いてくるよう上司から命じられました。
とりあえず話だけは聞いてきましたが「ここでは就職口は見つけられないな」と直感しました。
その会社の支援を受けていままでに就いた業種、業務にどのようなものがあるか一覧表を見せてもらいましたが、私が就きたいと思うものはひとつもなかったと記憶しています。
考えてもみてください。再就職支援会社がどれほどの求人情報を持っているのか。たかがしれています。
そして、再就職支援会社の担当者に、他社をリストラされた人がなっている。その人が本気で就職の手助けをしてくれるとは考えられません。
記事の中で、50代の元リコー技術者は職を失って3回目の夏を迎えたそうです。なぜいつまでも再就職支援会社にしがみついているのか。理解できません。
基本手当が330日(被保険者であった期間が20年以上。45歳以上60歳未満の場合)支給される間に自分で再就職口は探す。自分で探せないなら、決して早期退職優遇制度に応募はしないことです。
人事の担当者はあなたを辞めさせることが仕事で、それができなければ自分の首があぶない。当然のことです。
だから「再就職支援会社が全力で支援します」「あなたのキャリアを生かす仕事を探してください」こんな夢物語を平気で口にしますが、そんな言葉は鵜呑みにしない。
ただし、自分で再就職先を探せる自信がある人。または、自分で起業・創業を考えている人にとってはチャンス到来。退職金の上乗せ、基本手当が特定受給資格者の日数もらえるなどプラスの点は大いにあります。
あとは自分の判断次第です。でも結論は急がない。「石橋をたたいて、たたいて、それでも渡らない」それもありです。
2013年09月01日