「小野市福祉給付制度適正化条例」どう思います…

またわけのわからない条例が制定されました。
生活保護や児童扶養手当の受給者にパチンコなどでの浪費を禁じ、違反者の通報を市民の「責務」と定めた「小野市福祉給付制度適正化条例」です。
しかも、市議会で16人の議員のうち病欠の1人を除いて、反対が1人で可決されたことにも、「?」
人それぞれ考えが違うから議会で議論して…。それが反対を表明したのは1人だけ。
条例は全10条からなり、全条文を何回も読み返しましたが、全員が諸手を挙げて賛成するような内容とはとても思えませんでした。
第3条の「受給者は、偽りその他不正な手段を用いて金銭給付を受けてはならないとともに、給付された金銭を、パチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消し、その後の生活の維持、安定向上を図ることができなくなるような事態を招いてはならないのであって、常にその能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図るとともに…」
生活保護費が、パチンコ、競輪、競馬等に浪費されることは私も疑問視しますが、条例を制定してまで規制する必要があるとはとても考えられません。
また第5条3項「市民及び地域社会の構成員は、受給者に係る偽りその他不正な手段による受給に関する疑い又は給付された金銭をパチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、その後の生活の維持、安定向上を図ることに支障が生じる状況を常習的に引き起こしていると認めるときは、速やかに市にその情報を提供するものとする」
「情報を提供するものとする」と言い切っているのは「努める」ではなく「義務を強いている」ことで、市にそのような権限はなく、とても容認できません。
小野市のホームページの「こんにちは市長です」で蓬莱務市長は「一部の反対意見の中には、条例に規定している市民に通報を求める点に関して、『監視社会や偏見を助長する懸念がある』という声もありますが、小野市のような規模の町では当てはまらない議論です。
市内各地に昔からの小さなコミュニティが残っており、『監視』ではなく、地域の絆を深める『見守り』社会を目指しているのです。このことは生活に困窮され保護を必要とされている世帯の掘り起しも規定していることからも明らかです。大切なことは、『無関心から関心へ』と市民の意識改革を促すことにあるのです」と書いています。
これも詭弁で、生活保護を受けているかどうかは第三者には知らされていません。仮に、パチンコをしている人が生活保護の受給者だと知っていて、その現場を目撃し、市にそのことを通報すれば密告で、どこが「見守り」なのか、「密告制度」「監視社会」と言われても仕方がないとしか思えないのですが…。
兵庫県小野市の人口(平成23年3月末)は50,485人。世帯数18,656世帯。生活保護受給(同)は123戸。また、市職員(平成24年4月1日現在)は消防、病院を除き273名です。
この数字なら、条例を作る前に、生活保護受給者への個別対応も可能で、自立支援の方策も十分検討できたのではと考えるのは、厳しすぎるでしょうか。
当然、県の弁護士会や保険医協会が「差別や偏見を助長する」「使途を監視・干渉することは憲法に反する」と反対しています。
生活保護受給者への風当たりが強まるなか、真に保護が必要な人が申請を躊躇することがないように、そして同じような動きが他市へ波及しなければと思っています。

2013年04月01日

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