前月に引き続き、改正臓器移植法について。
7月17日に改正臓器移植法が施行されて1ヶ月半。これまでに(8月31日現在)家族の承諾のみの脳死移植が4例行われました。
1例目の臓器提供候補者(ドナー)は、20歳台の男性で、「臓器提供意思表示カード」は持ってなく、「臓器提供の意思登録」も行っていませんでした。
ただ生前、「自分が脳死になった場合には臓器提供をしてもいい」と家族には言っていました。
一方、他の3人のドナーは「臓器提供意思表示カード」、「臓器提供の意思登録」、「家族へ、口頭での臓器提供の意思」、これらに自分の「臓器提供をする、しない」の意思は明示していませんでした。
そして、今回の改正の目的である家族の承諾があれば、本人の意思が不明でも臓器提供ができるにより、移植が行われたわけです。
移植候補者(レシピエント)にとって、今回の改正がどれほど待ち望んでいたことであるかはわかります。
でも、なにか納得できないんです。
本人の「臓器を提供する」「臓器を提供しない」の意思が不明の場合、家族の承諾によって、「臓器を提供する」と同等に扱っていいものでしょうか。
やはり、本人の意思が不明である以上「臓器を提供しない」として扱うのが本人の意思を尊重する趣旨からしても当然のように思います。
医師から脳死を告げられ、肉親の突然の死を迎えた状態で、家族が冷静でいられるはずはなく、医師から臓器移植の話をされたら、とても正常な精神状態で話を聴けるとは思えません。
もし、医師が「〇〇さんの体の一部が、他の人の体の中で生き続けられますよ」とでも言われたら、家族の動揺は計り知れないものでしょう。
((社)日本臓器移植ネットワークに確認しましたが、医師がこのようなことを言ってしまう可能性は否定できないそうです)
この一言で、家族の思いとはまったく違う方向にことが運ばれてしまうことだってありえます。
臓器移植におけるドナーとレシピエントは、まったく逆な立場におかれています。懸命な存命医療が行われている反面で、レシピエントはドナーの死を待っている。
今回の改正で、脳死が人の死であることの一応の答えは出ました。
ただ「臓器を提供する」「臓器を提供しない」は別の話です。「臓器提供意思表示カード」「臓器提供の意思登録」には提供するの他にも、提供しないの意思を登録することも出来ます。
この際、ご自分の考えをまとめてみるのも必要ではないでしょうか。

2010年09月01日

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