「有期労働契約」の雇い止めに関して労働者の言い分ばかりが取り上げられているように思えてなりません。
私は30年以上の会社員の経験もありますし、いまは社会保険労務士としての仕事をしており、労働者、事業主それぞれの言い分はわかるつもりでいます。
また、どちらの肩を持つ気もありません。
ただ、公平な眼で見た場合、労働者の言い分の方が重視される傾向にあるのではないか。
労働者と事業主を比べれば、経済的に弱い立場に置かれているのは労働者です。
労働契約を結ぶにしても、もし法的な規制がなければ、労働者は意に反する契約でも締結せざるを得ない場合もあるでしょう。
しかし、雇い止めに関して言えば、当初の契約は有期労働契約です。
「決められた期間、決められた労働条件で働く」その契約をしているわけで、期間が満了すれば当然労働契約は終了します。
ただ、期間が満了しても双方の合意によって契約が更新される場合もある。更新される場合もあるのであって、必ず更新されるわけではない。
労働者と事業主の対立の原因は、この考え方の相違によるところがほとんどと言っても過言ではありません。
有期労働契約の雇い止めが有効か無効かを争う裁判では、契約関係の状況がどうなっていたのかが争点になります。
1.期間満了後も雇用関係が継続するものと(労働者が)期待することに合理性は認められるのか
2.期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約であると認められるのか
3.雇用継続への合理的な期待が認められる契約であるとされ、その理由として相当程度の反復更新の実態が挙げられているか
4.雇用継続への合理的期待が、当初の契約締結時等から生じていると認められる契約であるか
上記の状況などから「雇用が続くという労働者の期待感を保護すべきか」が判断されるわけです。
朝日新聞で9月16日から毎週金曜日朝刊の生活欄にて「有期雇用の行方」が特集されています。
「契約70回 でも雇い止め」(9/16)「声をあげる非正規公務員」(9/23)「待遇差別 声もあげられず」(9/30)
そこに書かれている労働者の立場はよくわかります。「もっともだ」とも思います。
でも「企業がかかえる労働者はすべて正社員」「有期労働契約の労働者すべてと契約の更新を」
できるわけがありません。
そのときどきの経済状況によって期間従業員として有期労働契約を結び働いてもらう。これも時としてやむを得ないのではないでしょうか。
最後にもう一度「有期労働契約は期間を定めた労働契約であって期間満了をもって契約は終了する」これは動かしえない事実です。

2011年10月01日

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