山口県光市の「母子殺害事件」最高裁は上告を棄却

1999年に山口県光市で起きた母子殺害事件の差し戻し後の上告審で、最高裁第一小法廷は大月(旧姓・福田)孝行被告の上告を棄却する判決を言い渡しました。
犯行当時18歳1カ月だった少年に、死刑とした差し戻し後の二審・広島高裁判決が確定することになります。
少年法では18歳未満の少年への死刑適用を禁じており、犯行が1カ月前なら死刑選択はなかった元少年への最高裁の判決は、重視されるのは犯行の「結果」であることを示したとも言えます。
死刑判決は適切だったのか、自分ならどう判断するか私なりに考えてみました。
事件は山口県光市の会社員本村洋さん(35)宅に排水検査を装って侵入し、抵抗する本村さんの妻弥生さん(当時23)の首を絞めて殺害し、強姦。
さらに犯行の発覚を恐れ、泣き続けていた長女夕夏ちゃん(同11カ月)を床にたたきつけ、首を絞めて殺害したというのが判決が認定した事実です。
殺害されたのは、当時23歳の母親と同11カ月の娘の2人。18歳1カ月の少年の犯行なら、無期懲役の判決もありえます。
ただ、大月被告の場合「真摯に反省している態度」がまったく見えてきません。最高裁の判決理由を読み、報道されている内容からもそのことは言えます。
当初は起訴事実を認めていたのが、差し戻し前の上告審で一転して殺意を否認。
大月被告の考えなのか(真実も含め)、弁護団の方針かはわかりませんが、あのまま起訴事実を認めて、心から犯行を悔い改めている態度を法廷で見せていたら「更生可能性がある」と死刑判決は出なかったのでは。
しかも、母親の自殺、父親からの暴力などにより人格形成に大きな影響を与えたと、情状酌量の余地は十分にあったはずです。
しかし、逆に大月被告の態度は被害者遺族に厳罰化を望ませてしまったとしか思えません。
被害者や遺族の声が司法の場に反映されるようになり、2008年に導入された被害者参加制度では、被害者や遺族が被告に対して法廷で質問したり、求刑への意見を述べたりできるようになりました。
本村洋さんは、差し戻し後の控訴審の法廷で、大月被告に「君の犯した罪は万死に値する。君は自らの命をもって罪を償わなければならない」と直接訴えています。
私は、今回の死刑判決は妥当だと考えています。仮に少年でも犯した罪によっては厳罰に処す。そのことが明確にされました。
裁判官のひとりが反対意見を述べており、法曹界からも当然反対意見は多数寄せられています。
いろんな議論がなされて、この判決が重大犯罪を抑止する一助になればいいのですが。
最後に、判決後の記者会見で本村さんが言った言葉を記しておきます。
「遺族としては大変、満足しています。ただ決して、うれしさや喜びの感情はありません。厳粛に受け止めなければならない」「勝者なんていない。犯罪が起こった時点で、みんな敗者なんだと思います」

2012年03月01日